2021年7月アップデートしました。
- 2021.07.22
- お知らせ
一年遅れのEURO2020があっという間に閉幕した。やはり、本大会、ビッグマッチはいい。
観客制限でのこの盛り上がりなのだから、制限がなくなればさらにフィーバーすることは間違いない。今までは当たり前だったことが、どれだけありがたいことかを痛感した一か月であった。
大会は初戦からもっとも安定した戦いぶりをみせたイタリアが、1968年以来の2度目の優勝という結果で幕を閉じた。
前回優勝時は地元開催でありながら準決勝・対ソ連戦でのコイントス!勝利や、オシムを負傷で欠いたユーゴスラビアとの決勝もジャイッチの先制ゴール、延長戦の微妙な判定など、何となくスカッとしない部分もなくもなかったが、今回は文句なしだ。(1968年の決勝再試合は完勝だった)
大会途中からチームに血が通い始め、最終的に最も良いフットボールをしたスペインとの準決勝を乗り越えたことで勝利の神様をグッと引き寄せた気がする。1983年9月21日、1984年の欧州選手権・予選の大一番、フィル・ニールのハンドによるPKをアラン・シモンセンに決められウェンブリーに沈んだイングランドはデンマークにリベンジに成功するも、プレゼントされたペナルティーチケットを使ってしまったためか、決勝ではフットボールの神様はイタリアに味方してしまった。それでも、イングランドの決勝進出が大会を大いに盛り上げたことは間違いない。
欧州では横パスばかりする選手を「カニ」というらしい。マテウスが今大会のクロースを称し「カニ」と批判したことがニュースになっていた。マテウス曰く(相手にとって危険な)縦へのパス、動きがなかったことが不満だったようだが、前線でキープ可能な選手やボールを引き出す動きが少なく、出したくても出せない状況だったのかもしれない。
現代フットボールではバスケ並みにスペースがなくなっている中、この状況を打開する手立てとしては(メッシは例外として)古典的だが個人技、とりわけドリブル突破が最も効果的であることが証明された大会だった気がする。イタリアではインシーニェ、キエーザ、イングランドではスターリングが決定的な仕事をしたし、スペインのオヤルサバルはフィニッシュの精度が上がれば第二のダビド・シルバになる可能性があり、対戦相手にとっては大きな脅威となるのだが、今大会のドイツに一番欠けていたものはこの部分だったような気がしてならない。しかし、ようやくの監督の交代とムシアラの登場は今後期待しかない。
1980年代前半からイングランド代表、マンチェスター・ユナイテッド、ACミランなどで活躍したレイ・ウィルキンスのあだ名は「カニ」だった。技術やパス精度が高いものの横方向へばかりだったのが理由だそうだが、1980年の欧州選手権・イタリア大会初戦のベルギー戦では、オフサイドトラップを一人パントで突破して名手・ジャン=マリー・プァフの頭上を鮮やかなループシュートで先制ゴールを決めている。4分後、ベルギーのクーレマンスに同点ゴールを許した直後、スタジオ・コムナーレ(トリノ)のスタンドでイングランド・サポーターもとい、フーリガンが暴れ出し、イタリアの軍隊、警察部隊が放った大量の催涙弾による影響で試合が中断されてしまった。再開された試合はイングランドの勢いをそぎ、当時、二年連続で欧州最優秀選手=バロンドールを獲得したキーガンを要し優勝候補だったイングランドは、あえなく大会を後にしている。敗退の原因のすべてではないだろうが、監督のロン・グリーンウッド(当時)も認めるようにチームのリズムを崩したのは間違いない。41年経った現在でも、この国と人たちは相も変わらず同じことを続けている。
1969-70シーズン、オランダ勢で初めて欧州カップを手にしたフェイエノールトの記録写真集を入手した。キャプテンのルヌス・イスラエル、中心選手のヴィム・ファン・ハネヘム、ヴィム・ヤンセンにヘンク・ヴィリー、クーン・ムーライン、そして、スウェーデンのエース・オーベ・シンドバル(キンドバルとも表記される)と、アヤックスのような華やかさはないが、世界トップクラスの実力者ぞろいの戦いぶりをたっぷり堪能できる内容に大満足。
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